会長挨拶




















 平成29年6月30日の第43回定時社員総会において、会長に再選されました。引き続きよろしくお願い申し上げます。
 一般社団法人全国さく井協会は昭和49年12月公益法人として許可され、公益法人の新法人への移行では、平成26年4月「一般社団法人」へ移行いたしました。現在も国内唯一のさく井業界の全国組織として、その目的達成を目指して活動し、今年で44年目に入ります。その間に国土交通省をはじめ、関係各位、会員各位より賜りましたご高配とご支援に深く感謝申し上げます。
 当協会は、地下水を掘りあて、その水を提供する“井戸”をつくることにより社会に貢献しております。平成23年3月11日の東日本大震災では、被災地に入り234本の井戸で被害調査を行いました。結果、地震、津波で機能を喪失した井戸が13本(地震が原因5本、津波が原因8本、全体の5.6%)でした。また、平成28年4月、2度震度7の激震にみまわれた熊本地震でも現地に入り被害調査を行いました。結果、合計154本の井戸を調べましたが、その内120本の井戸で(78%)、2~3日の期間「濁り」が認められましたが自然に消滅し地震前の状況に戻りました。地中の井戸設備が壊れ使用不能になった井戸はありませんでした。 昔から言われていた“井戸は地震に強い”が裏づけられました。 また、多くの街で上水道施設が壊され断水しました。地中の水道配管が破壊、切断され送水路が断たれてしまったのです。調査時「今すぐ使うことのできる水を得られる井戸があったら」という声も多く聞きました。
 当協会は「災害時避難施設になるところには事前に防災井戸の設置を」と訴えております。東日本大震災から得られた教訓を基にさく井協会発行の「井戸被害報告書」では“井戸の被害対策”“地震、津波に強い井戸”を図解で提案しております。また、防災井戸設置計画の参考になればと、井戸資料のデータベース化を行い、井戸深度、地質、地下水の水質、取水量等を明示し、福島県を例に“福島県 地質・地下水分布図”をまとめました。他の地域でも整備されますようお手伝いをしたいと考えております。
 平成28年度版「水資源白書:国土交通省」によると、平成24年の都市用水(生活用水+工業用水)の全使用量は約266億㎥で、その内地下水使用量は約63億㎥あり、約24%です。つまり、身の回りでお世話になっている水の4分の1は地下水です。日本全体の水使用量は約805億㎥/年と推定され、その内地下水使用量は111億㎥/年と推定されているので約13.8%です。「水インフラ」は国民生活及び産業活動を支える重要な基盤です。地震、災害が発生し避難施設でその都度水の不足が伝えられます。「水インフラ」に地下水の確保と供給を加えねばなりません。その地下水、井戸の大切さを理解していただく活動として11月10日を「いい井戸の日」と定め、講演会、シンポジウム、展示会を平成15年から毎年行っています。平成29年度は広島市、30年度は関西地域で計画しております。
 水井戸、防災井戸以外にも、井戸は国産エネルギー利用の“石油・ガス井”“温泉井”“地熱発電井”“地中熱利用井” 温暖化対策として“二酸化炭素の地層貯留井” “水位観測井”“地震観測井”等々その利用先は多彩です。当協会は、今後とも井戸の新しい活用先の開拓に積極的に取組んでまいります。


会 長   脇 雅 史