| 支部長挨拶 |
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| この度、第49回一般社団法人全国さく井協会中央支部総会にて、支部長を拝命いたしました。 |
| 宜しくお願い申し上げます。 |
| 私と当協会との関わりは、2003年から2007年に近畿支部副支部長を務めていましたが、その後、 |
| 役職者としての活動からは遠ざかっておりました。再び、要職を担うことになり、責任の重大さを |
| 痛感しております。 |
| さて、当協会及び当支部は、3年以上に及ぶコロナ禍の中、活動が制約されるという極めて困 |
| 難な状況にありながら、活動を継続し成果をあげることができました。これは、多くの会員とり |
| わけ役員の皆様のご尽力の賜物であり、心より感謝申し上げます。この間の協会活動及び支部活 |
| 動の成果としては、当協会が独自に創設した地下水利用設計管理技術者資格制度の運用が開始 |
| されたことがあげられます。さらに、当協会が国土交通省から登録さく井基幹技能者制度の認定 |
| 団体に定められ同制度の運用が開始されました。それにより、建設キャリアアップシステム(CCUS) |
| において、当協会が策定した評価基準により、さく井技能者の能力や経験を判定することができる |
| ようになりました。これらは、いずれも緒に就いたばかりであり、当協会は各々の制度のより一層 |
| の発展に注力いたしますが、中央支部はそれに貢献すべく、きめ細かな活動の推進に努めてまいり |
| ます。 |
| さて、会員各社が生業とするさく井工事に関しまして、最近の動向について述べます。地下水は、 |
| 戦後の高度成長時代では、急増する水需要に対して大きな役割を果たしてきたものの、地盤沈下 |
| 発生により取水が抑制されることになりました。しかし、昨今、水循環の健全化への取り組みを求 |
| める声が高まる中、2014年に水循環基本法が制定され、同法で地下水の公共性が示されました。 |
| さらに、その後の2021年の同法改正では、地下水マネジメントの推進、地下水の適正な保全及び |
| 利用といった地下水に関する施策が強調されています。当支部は、地下水取水を担う立場から、 |
| 更なる地下水の適正な保全と利用を図ってまいります。 |
| 今年は関東大震災発生から100年経過という節目の年ですが、わが国では、2011年の東日本大 |
| 震災以降、全国各地で地震が頻発しています。とくに、当支部に関する地域では首都直下型地震 |
| の発生とそれによる甚大な被害が懸念されています。震災発生時には水の確保が急務となります |
| が、当支部は、引き続き防災井戸設置を官民各方面に呼びかけ、災害時の水問題に貢献すべく |
| 尽力してまいります。また、グリーントランスフォーメーション(GX)への対応として、再生可能 |
| エネルギーとしての地中熱利用への取り組みも推進いたします。 |
| 建設業界及び物流業界は、いわゆる2024年問題(2024年4月から適用される労働時間の上限 |
| 規制)への対応が迫られていますが、さく井業界も同様の状況にあります。人材確保を実現する |
| ことが急務ですが、当業界への若年層からの入職者が極めて少人数である現状を考慮すると並 |
| 大抵のことではありません。「きつい、汚い、危険」という「3K」から、「給料が良く」 |
| 「休暇が取れ」「希望が持てる」「格好いい」という「新4K」への脱皮を図っていくことが |
| 問われています。さく井業を存続させるためにも、担い手確保が最大の課題です。また、 |
| 「2024年問題」に対しては、生産性向上に取り組まなければならないと考えます。とくに、 |
| デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応により、現場作業等の業務の効率化を図る |
| 必要があります。 |
| 以上のように、多くの課題がございますが、当支部は、さく井業界が発展しそれにより地域 |
| や社会へ貢献していくという理念に基づき、引き続き活動を展開してまいりますので、ご指導 |
| ご鞭撻のほどお願い申し上げます。 |
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一般社団法人 全国さく井協会 中央支部
支部長 若 林 直 樹 |