会長挨拶
















 このたび、一般社団法人 全国さく井協会の会長を拝命いたしました石塚でございます。
 昭和49年12月4日の設立以来、当協会は令和6年に創立50周年という節目を迎えました。
 この歴史と伝統ある団体の舵取りを担うこととなり、責任の重大さに身の引き締まる思い
 でございます。

 まずは、長年にわたり当協会の発展にご尽力いただきました歴代会長をはじめ、関係各位
 の多大なるご功績に対し、心より敬意と感謝を申し上げます。あわせて、平素よりさく井
 業界をご支援くださっております会員各位、行政機関、地域の皆様、ならびに関係団体の
 皆様に、深甚なる謝意を表する次第でございます。

 さて、近年我が国では、自然災害の激甚化・頻発化が顕著となっており、災害時における
 水源の確保は、地域を問わず極めて重要な課題となっております。特に、水道が水供給手
 段のほぼ唯一のインフラとなっている現状においては、減水や断水が地域社会に与える影
 響は甚大であり、早急な対策が求められております。しかしながら、水道施設の強靱化に
 は莫大な投資を要し、さらに人口減少や少子高齢化に起因する財政的・運営管理上の課題
 も深刻化しており、各水道事業体における対応には大きな格差が見受けられます。

 こうした状況下において、地下水の利活用は現行の水道施設の代替・予備施設として、
 以下の観点から極めて有効かつ現実的な対策と位置づけられます。
   • 地域ごとに必要な水量を確保する分散型のシステムにより、経済性と柔軟性を両立
   • 配管延長の短縮に伴う地震時の断裂リスクの低減および整備コストの削減
   • 表流水に比して水質の安定性が高く、簡易な処理で供給が可能
   • インターネット等を活用した集中管理が可能であり、技術者不足への対応も期待される

 このように地下水は、災害に強い社会基盤としての機能を果たす「防災井戸」として
 重要な役割を担っております。飲料水および生活用水の確保は、地域住民の生命と健康
 を守るうえで不可欠な要素であり、このことは令和6年に閣議決定された「水循環基本計画」
 にも明記されております。

 真に災害に強い地域社会を実現するためには、平時からの備えと利用、継続的な取り組み
 が何より重要であります。全国さく井協会といたしましては、防災井戸の整備推進を重要
 な社会的使命と捉え、設計・施工・維持管理に関する技術支援をはじめ、関係行政機関や
 地方自治体とのさらなる連携強化に努めてまいる所存でございます。

 結びに、今後とも会員の皆様と力を合わせ、当協会の一層の発展、そして国民生活の安全と
 安心の確保に寄与できますよう、誠心誠意努めてまいります。
 何卒、引き続きのご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、就任のごあいさつとさせ
 ていただきます。
                                        謹白

    令和7年7月吉日
                            会  長   石塚 学